この記事はmacOS SierraでGNS3を使うの一部です.

表題の通り,macOS SierraにGNS3をセットアップするところまでを扱います. インストールをまだ行っていない場合は, macOS SierraにGNS3をインストールするを参照してください.

導入

GNS3はあくまで,エミュレータや仮想マシンをグラフィカルに配置・接続可能にするGUIフロントエンドであり,実際にネットワーク機器をエミュレートしたり,仮想アプライアンスを実行したりするのは,DynamipsやQemuのようなエミュレータと,VMwareやVirtualBox,Dockerのような仮想マシンです.

その為,実際にコンピュータネットワークのシミュレーションを行うためには,必要とする機能毎に環境の構築が必要でした.

しかし,GNS3 v1.4.0(2016年1月13日リリース)と同時にリリースされた新しい仮想マシンイメージ(以下,VMイメージ)を利用することで,この手間を省くことができます.

この新しいGNS3用VMイメージは,GNS3が必要とするすべての機能がパッケージされており,これを使用することで,個別に環境を構築すること無く全部入りの環境を手に入れることが可能です.

なお,理由は後述しますが,この記事では上記のGNS3用VMイメージを動作させる環境として,VMware Fusion がインストールされていることを前提にセットアップを進めていきます.

uBridge

uBridgeはUDP tunnel, Ethernet, TAP間でブリッジ接続を行うためのアプリケーションで,ユーザランドで動作します.元々はIOU(IOS on UNIX)間をブリッジ接続するためのソフトウェアであるiouyapを置き換えるものとして開発されました.

私が試した限りでは,GNS3 VM利用するmacOS上のGNS3でこのアプリケーションを必要とするケースは無いように見えるのですが,uBridgeに関わる設定を行わないと,GNS3の起動時に毎回同じダイアログが表示されることになります.

このダイアログです.

uBridgeはOSの管理下にあるネットワークインターフェースにアクセスをするため,特権ユーザで実行される必要があります.

ここでYesボタンを押下すると,必要な設定をGNS3が実行してくれるはずなのですが,うまく設定されなかったので,この手順ではNoを押下し,手動で設定を実施することにします.

Terminalを起動して次のコマンドを実行してください.

[~]$ sudo chmod 4755 /Applications/GNS3.app/Contents/Resources/ubridge
[~]$ sudo chown root /Applications/GNS3.app/Contents/Resources/ubridge

最初のchownでSUIDを設定した上で,オーナーをrootに変更しています.

Setup Wizard

今回が初めての起動であれば,uBridgeのダイアログの次にSetup Wizardが自動的に実行されます.

もしSetup Wizardが実行されていない場合,メニューのHelpからSetup Wizardを選択することで,手動実行が可能です.

サーバタイプの選択

最初にサーバタイプの選択を行います.

GNS3のサーバタイプは次の種類があります.

  • Local GNS3 VM
  • Local server
  • Remote server

Local GNS3 VMは,本記事の導入の項目で説明したとおり,自分のコンピュータ上で動作する,必要なものがすべてパッケージ化された仮想マシンを使用する方式です.

Local serverは,GNS3を動作させているOS環境上に,直接インストールされているdynamipsやqemu,dockerを利用する方式です.仮想マシンを動作させたくない理由がある場合,こちらを選択します.

Remote serverは,Setup Wizardに表示されていませんが,ネットワーク越しに動作しているサーバを利用する方式です.外部の強力なサーバを利用して大規模なシミュレーションを行いたい場合などに便利です.

さて,ウィンドウ上部に表示された説明にもある通り,WindowsとMac OS X環境ではVMを使うことを強く推奨しています.VMの実行環境さえあれば,これを使わない積極的な理由はないと思いますので,Local GNS3 VMを選択して,Nextボタンを押下してください.

GNS3 VMの設定(前編)

次の画面では,GNS3 VMを動作させる仮想化ソフトウェアと,実行する仮想マシンを決定します.

ここでは,仮想化ソフトウェアとして,

  • VMware
  • VirtualBox

のどちらかを選択することができますが,VMwareが推奨されています.

もし貴方がmacOSを使っていて,コンピュータインフラストラクチャの設計や構築を仕事としており,VMware Fusionを持ていないのであれば,先行投資と割り切ってこの機会に購入することをお薦めしたいと思います.

VirtualBoxに対するVMware Fusionのアドバンテージは次の通りです.

  • ネストされた仮想化(VM上でVMを動かせる)を実現できる
  • VirtualBoxに比べて軽快に動作する(速い)

特に,VM上でVMを動かすことが出来る = 仮想マシンでもIntel VT-xのサポートが効く というのは大きなメリットで,これが出来ないVirtualBoxでは,KVMなどの検証を行うことができません.

GNS3 VMのセットアップ

Setup Wizardに沿ってセットアップを継続するためには,先にVMware FusionへGNS3 VMを配備しなければなりません.

まずは,GNS3 VMのVMイメージを取得します.

Releases · GNS3/gns3-gui · GitHub

リリースページから,自分がインストールしているGNS3のバージョンに合ったGNS3 VMをダウンロードしましょう.

イメージは,仮想マシンソフトウェア毎に次の3種類が提供されています.

  • VirtualBox
  • VMware ESXi
  • VMware Workstation

VMware Fusion用のものがありませんが,VMware Workstationのものを使用します.

例えば,GNS3がv1.5.2の場合,GNS3.VM.VMware.Workstation.1.5.2をダウンロードし,アーカイヴを展開してください.

中からGNS3 VM.ovaが出て来るはずです.

VMイメージのダウンロードが完了したら,次はVMware FusionにVMをインポートしましょう.

VMware Fusionを起動して,Virtual Machine Libraryを表示してください.

ウィンドウの左上にある,Addボタンを押下し,表示されたメニューからimportを選びます.

インポートするVMイメージの選択画面がでてきます.

Choose File…ボタンを押下し,事前にダウンロードしておいたVMイメージがあるフォルダに移動します.

インポートするVMイメージを選択し,Openボタンを押下してください.

Recent itemsに,先程選択したVMイメージが追加されていることが確認できたら,Continueボタンを押下します.

VMの展開先と名前を指定します.

特に変更する理由がなければ,デフォルトである~/Documents/Virtual MachinesGNS3 VMという名前で保存しましょう.

そのままSaveボタンを押下します.

VMイメージのインポートが開始されます.

インポートが完了すると,終了画面にVMのサマリが表示されます.

このままFinishボタンを押下しても良いのですが,それなりに大きなネットワークのシミュレーションを行うことを考慮し,CPUやメモリの割当を増やしておきましょう.

Customize Settingボタンを押下します.

VM設定の画面が表示されるので,最上段の右から2番目にあるProcessors & Memoryを選択してください.

割り当てるCPUコアの数とメモリを変更します.

このあたりは自分のマシンにあわせて調整してください.

私は2コアのIntel Core i7 3.1GHzと16GBのメモリを搭載しているMBPを使用していので,割当可能な最大仮想コアが4cores,割当可能な最大メモリが16GBとなりますので,この半分をVMに割り当てました.

Processors: 2 processor cores Memory: 8192MB

さて,これで起動準備が整いましたので,設定画面を閉じてGNS3のSetup Wizard画面に戻りましょう.

GNS3 VMの設定(後編)

VM側の準備が整いました.

Virtualization softwareのラジオボタンはVMwareを選択します.

表示が上記のように切り替わるので,VM nameのプルダウンから,GNS3 VMのセットアップで導入したVMを選択します.仮想マシンの配備したにもかかわらず,プルダウンに表示されない場合はRefreshボタンを押下して,仮想マシンのリストを更新してください.

vCPU coresRAM sizeには,GNS3 VMのセットアップで割り当てたProcessorsとMemoryの値をそれぞれ入力します.

私の場合はvCPU coresが2で,RAM sizeが8192MBです.

入力が終わったらNextボタンを押下してください.

システムの状況次第ですが,上記のような警告が出る可能性があります.これは仮想マシンに割り当てるメモリ量(8192MB)が,現在システムがスワップを発生させずに即時に割り当て可能なメモリ量(4505MB)を超えている場合に出力されます.

スワップが発生して問題ないのであれば無視してしまいましょう.スワップを発生させたくない場合は,他のアプリケーションを終了してメモリを開放させるか,GNS3 VMに割り当てるメモリ量を減らしてください.

OKボタンを押下して次に進みます.

macOSに標準搭載されているFirewallがONになっている場合,gns3serverが起動し通信待受を開始したことを検知し,上記のようなダイアログが表示される場合があります.

GNS3 VMを使用している場合,Localのgns3serverがincommingの通信を受ける必要はないため,ここは許可しても拒否してもどちらでも構いません.

gns3serverはデフォルトでパスワード保護されていますが,LAN上からの攻撃などに不安がある場合は,pfctlコマンドでFirewallルールを制御するか,サードパーティのファイアウォールを導入してください.

GNS3がGNS3 VMを起動します.

起動プロセスの進行は,ロゴでもあるカメレオンの舌が虫に近づくことで解ります.

起動が完了すると,仮想マシンの基本情報が表示されます. 仮想マシンコンソールにフォーカスして,OKにカーソルがあることを確認し,Enterを押下してください.

GNS3 VMの基本メニュー画面に進みます.設定の変更や確認を行う場合は,ここから操作することができます.

ひとまずこの画面まで進めば,GNS3 VMの起動は完了し,使用可能な状態となります.

仮想マシンコンソールからフォーカスを外し,GNS3に戻ります.

続いてVMの追加に進むことが出来ますが,一旦すべてのチェックを外し,Finishボタンを押下してください.

これでGNS3の基本セットアップは完了です.

実際にネットワークシミュレーションを開始するためには,Cisco IOSやIOU,VMの追加が必要となります.

これら用途ごとのセットアップは macOS SierraでGNS3を使うから,該当する記事を参照してください.

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